みずのき美術館は、母体である障害者支援施設みずのきの創立5年目に開設された絵画教室(1964年〜2001年)から生まれた作品の所蔵と展示、そしてアール・ブリュットの考察を基本に据えた美術館として、2012年に開館しました。
私たちは、アートを個人の深い内面からの発信ととらえ、作品を通してさまざまな「個」に出会い、そして人間の多様性の理解へと広がっていくことを期待しています。これまで50数年間、重い知的障害の人とともに歩んだ施設だからこそ、「物言わぬ人」の真の思いを伝えたい、と切実に願っています。
現代社会において、多くの幸福の仕組みが次々創りだされてもなお一層人々は真の幸福について探し続けなくてはならない状況に生きています。私たちは、その答えの手掛かりをアートに託しています。
アール・ブリュットとは?
第二次世界大戦後、価値観の再編成がおこなわれる中、フランスの芸術家ジャン・デュビュッフェによりつくられた言葉。日本語では、「生(き)の美術」などと訳され、伝統的な美術教育を受けていない作り手によるとされるそれらの作品は、美術史的な枠組みで解釈し尽くすことができない。イギリスの美術史家ロジャー・カーディナルは、「アウトサイダー・アート(outsider art)」と訳している。