みずのき美術館は、アール・ブリュット作品を紹介することを基本に据えた美術館です。
またその発信方法として、「アート」を多様にとらえるだけでなく、展示、公演、ワークショップなどの企画についても「多様性」を誇るものにしていきたいと考えています。
私たちは、アート作品を、個人の深い内面からの、すなわち、無意識からの発信ととらえ、作品を通して、さまざまな「個」に出会うこと、人間の多様性の理解へと広がることを期待しています。これまで50数年間、重い知的障害の人とともに歩んだ施設だからこそ、「物言わぬ人」の真の思いを伝えたいと切実に願っているのです。
近年、世界中の人々が、真の幸福について迷い、苦しんでいます。そして、それぞれの背景は異なりつつも、そこから脱却する道を模索せざるを得ない状況に立たされています。
私たちは、その答えの手掛かりを「アール・ブリュット」に託しています。
みずのき美術館代表
西藤二郎(社会福祉法人松花苑理事長)
アール・ブリュットとは?
第2次世界大戦後、価値観の再編成が行われる中、フランスの芸術家ジャン・デュビュッフェによりつくられた言葉。日本語に訳される場合には、「生 (き) の美術」「生 (なま) の美術」とされることが多い。伝統的な美術教育を受けていない作り手によって制作されるそれらの作品は、美術史的な枠組みでは解釈し尽くすことができない。イギリスの美術史家ロジャー・カーディナルは「アウトサイダー・アート (outsider art) 」と訳している。